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2014年6月20日に成立した改正会社法における監査等委員会設置会社の概略

2014年5月23日 弁護士 中島 成

背景

現在、上場企業においては、〔1〕その大多数を占める監査役会設置会社と、〔2〕ごく少数の委員会設置会社の二種が存在する。〔1〕では監査役会のメンバーとして社外監査役が必ず置かれるものの、監査役は会社の意思決定機関である取締役会のメンバーではないことから、会社統治に対して社外視点を反映することに限界があると言われていた。他方、〔2〕では社外取締役が過半数で構成される指名委員会が取締役を指名したり、同じく報酬委員会が取締役の報酬を決めるとされており、これに対する抵抗感から制度として殆ど普及しなかった。
そこで、〔1〕と〔2〕の中間的な制度として、監査等委員会設置会社が設けられることになった。取締役に対する監督を監査等委員会にしてもらい、かつ、会社の意思決定をする取締役会にも監査等委員会のメンバーが取締役として参加するという仕組み。

なお、監査等委員会設置会社の創設に伴い、現行の委員会設置会社は指名委員会等設置会社と呼ばれることになる。

具体的な内容
  • ・株式会社は、規模にかかわらず定款で監査等委員会になれる。
  • ・監査等委員会のメンバーである監査等委員は、取締役でなければならない。
  • ・監査等委員会が設置されれば、監査役は不要なので監査役を置くことはできない。取締役会は、監査等委員会とは別途に置かれ、現行の監査役会設置会社のそれと同じような働きをする。代表取締役も同様。
  • ・現行の委員会設置会社に存在する執行役は置けない。必要に応じて、取締役が業務担当取締役(営業担当取締役等)になる。監査等委員会が取締役を監査して、取締役会が執行役を監督するという二重構造はとらない。
  • ・監査等委員たる取締役は、3人以上。その過半数は社外取締役。
  • ・監査等委員である取締役の任期は2年(短縮不可)。それ以外の取締役の任期は1年。
  • ・監査等委員は、その会社若しくは子会社の業務執行取締役若しくは支配人その他の使用人等を兼ねてはならない。
  • ・監査等委員会は、取締役の職務執行の監査、監査報告の作成、株主総会に提出する会計監査人の選解任等に関する議案の内容の決定、監査等委員以外の取締役の選解任・辞任・報酬等についての監査等委員会としての意見の決定を行う。
    また、監査等委員会が選定する監査等委員は、取締役の行為の差止め、取締役会の招集等を行うことができる。より具体的には、取締役の法令又は定款違反行為で会社に著しい損害が生じるような場合、その行為をやめるよう取締役に請求できるし、たとえ招集権者の定めがあっても、監査等委員会が選定する監査等委員は取締役会を招集できる。
  • ・監査等委員会とは別に存在する取締役会は、監査等委員会のメンバーたる取締役とその他の取締役で構成され、業務執行や内部統制に関する事項を決定し、取締役の職務執行の監督、代表取締役の選定及び解任を行う。
  • ・取締役会は、重要な財産の処分、多額の借財等に相当する事項、その他重要な業務執行の決定を取締役個人に委任することはできない。しかし、取締役の過半数が社外取締役である場合は、取締役会決議により、一定の重要な業務執行の決定を取締役に委任できる。
  • ・監査等委員たる取締役は、他の取締役に比して独立性が必要なので、株主総会において、それ以外の取締役と区別して選任される。また、監査等委員である取締役選任議案を株主総会に提出するには、監査等委員会の同意が必要。
  • ・監査等委員である取締役を解任するための株主総会決議は、議決権の過半数を有する株主が出席し、出席株主の議決権の3分の2以上の多数が必要。
  • ・監査等委員である取締役の報酬も、独立性を確保するため、監査等委員である取締役の報酬等につき、定款の定めがなければ、株主総会決議の範囲内で、監査等委員である取締役の協議により定める。取締役会や代表取締役が委任されて定めることはできない。また、株主総会や定款において報酬を定める際、監査等委員である取締役とそれ以外の取締役とを区別して定めなければならない。

以上

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