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民法改正(債権法改正)の重要ポイント

第2 改正の重要ポイント

8 売買
(1)買主の追完請求権、代金減額請求権
(要綱仮案 第30、3、4、5)(改正民法562条、563条、564条)
【ポイント】
ア 追完請求(要綱仮案 第30、3)(改正民法562条)
売買の目的物が、種類、品質、数量に関して契約内容に適合しない(以下「不適合」)の場合は、買主は売主に、修補、代替物の引き渡し、不足分の引き渡しによる履行の追完(以下「追完」)を請求できる。
ただし、その不適合が買主の責めによる場合は請求できない。
また、売主は、買主に不相当な負担を与えない場合は、買主の請求と異なる追完ができる。
イ 代金減額請求(要綱仮案 第30、4)(改正民法563条)
(ア)買主が相当期間を定めて追完を催告したのにその期間内に追完がなされないときは、買主は、不適合の程度に応じて代金減額を請求できる。
(イ)次の場合は、上記(ア)の催告なしに直ちに代金減額請求できる。
・追完が不能のとき
・売主が追完拒絶の意思を明確に表示したとき
・一定の期間内等に履行しなければ契約目的を達成できないのに履行がなされずにその期間が経過等したとき
・催告しても追完を受ける見込みがないことが明らかなとき
(ウ)ただし、不適合が買主の責めによる場合は、上記(ア)(イ)の代金減額請求はできない。
ウ 上記ア、イ、の権利行使をしたときでも、損害賠償請求、解除権の行使もできる(要綱仮案 第30、5)。(改正民法564条)
【改正の理由】
ア 現行法では上記ア、のような追完請求ができるかどうかはっきりしておらず、売買の目的物が特定物か不特定物か等で解釈上様々な主張がされていた。そこで、特定物でも不特定物でも追完請求ができることを明らかにした。
イ 現行法では目的物に種類や品質の瑕疵があった場合、代金減額請求ができる規定はない。しかし減価分の損害賠償請求ができる以上、端的に代金減額請求ができるとすべき。
※これまで存在した「隠れた瑕疵」という表現(現行法570条)は今回の改正ではなくなった。「隠れた」という要件を加える理由が必ずしも明確ではないから。
【影響等】
アもイも売買の等価性維持のためだから、売主の帰責事由の有無は問わない。
ア、で買主がある追完請求を選択しても、売主が他の追完方法を選択する場合があるので注意を要する。買主からすれば、追完方法の選択権を買主に専属させ、売主の選択権を排除する特約による対応が検討されるべき。
イ、の代金減額請求は新設。代金減額請求をするためには、原則として追完の催告が必要となることに注意を要する。
ウ 売主に帰責性がある場合は通常の損害賠償請求もできる。
(2)種類・品質不適合による損害賠償請求等の行使期間の制限
(要綱仮案 第30、7)(改正民法566条)
【ポイント】
売買の目的物が、種類又は品質に関して契約内容に不適合な場合、買主が不適合の事実を知った時から1年以内に、不適合の事実を売主に通知しなければ、当該不適合を理由とする追完請求、代金減額請求、損害賠償請求、契約解除はできない。 ただし、売主が引き渡しの時に不適合であることを知っていたとき、又は重過失で知らなかったときは、この限りではない。
【改正の理由】
現行法の隠れた瑕疵(570条)に相当する場合の期間制限を、現行法と同様に維持するもの。 この場合は売主は引き渡したら履行が完了したと期待するので、あまり長く売主の地位を不安定にするのは適切ではないから。
ただし、不適合の場合でも数量不足の場合は、種類又は品質の瑕疵の場合程、履行が完了したという売主の期待を保護する必要はない。そこでより長期の通常の消滅時効期間に服する。
【影響等】
商法526条でも、商人間の売買(例えば、会社と会社の売買)において売買目的物に瑕疵や数量不足があった場合の責任等が規定されている。
これは今回の民法改正施行後も同様の趣旨で維持される。注意を要する。





商法526条は、商人間の売買では、買主は目的物を受け取ったら遅滞なく検査し瑕疵や数量不足を発見したら直ちに売主に通知しなければならず、その通知をしなければ解除、代金減額、損害賠償の請求ができない。直ちに発見できない瑕疵があった場合でも、買主は6ヶ月以内に発見して、直ちに通知しなければ解除、代金減額請求、損害賠償の請求ができない、としている。

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