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会社(企業)の民事再生手続の実際 〜過剰債務からの解放を図る〜

5、会社分割と民事再生手続(1)

(ア)債務切り捨て手段として利用された会社分割

過剰債務の会社が事業を生かし債務を切り捨てるための方法として、債権者の多数決の同意を要する民事再生手続ではなく、会社分割という手法を利用することがあります。
会社分割とは、一言で言えば、組織法的な事業譲渡のことです。株主総会の特別決議で、新設又は既存の他社に事業・債権債務・従業員を一括して移転させ、対価として譲受会社の株式等を交付するのです。
過剰債務を免れることを目的として行われる会社分割は、一般に次のような手法で行われます。

  • 〔1〕過剰債務に苦しむA社が新しい会社B社を設立し、B社は設立にあたって発行する株式をA社にすべて発行する。
  • 〔2〕A社は、B社の上記株式の対価としてA社の営業利益を生む事業をB社に譲渡し、同事業維持に必要な債権債務、従業員をB社に移転する。
    この場合、事業継続に必要な取引先・顧客との債権債務はB社が引き受けるものの、過剰債務の中心となっている金融機関に対する債務はA社が引き受ける。
  • 〔3〕A社が取得したB社の株式は他の者に譲渡し、A社は破産手続を行う。

以上のような手続によって、A社の利益を生み出す事業をB社に移転し、A社の過剰債務の原因となっていた銀行等に対する負債をA社に残し、A社は破産し、A社に発行されたB社の株式も他に移転することでB社の支配を守る、という形になるわけです。

(イ)債権者が会社分割手続に際してクレームをつけられない理由

債権者が、このような会社分割手続に際してクレームをつけられない理由は、会社分割後A社に履行を請求できる債権者は、会社分割手続における異議手続から除外されているからです(会社法810条1項2号)。
なぜ異議手続から除外されているかといえば、A社にはB社に移される事業の対価としてB社の株式が発行されます。そして抽象的には、その株式の価値がB社の価値、すなわち、移された事業等の価値そのものと言えるからです。だから、会社分割の前と後で、A社の財務内容に変更がなく、そのためA社に請求できる債権者が不利な立場に置かれたとは言えない。そのような債権者に会社分割について異議を申し立てる地位を与える必要はない、と考えられて立法がなされたからです。

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