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会社(企業)の民事再生手続の実際 〜過剰債務からの解放を図る〜

6、会社分割と民事再生手続(2)

(ア)濫用的な会社分割による債務切捨は詐害行為取消権等によって否定される

しかし、このような濫用的な会社分割の手法に対しては、詐害行為取消権(民法424条)、破産法上の否認権等によって、B社に対し、A社の債権者(A社が破産手続の申立をした後であれば破産管財人)への価格賠償を認める判例が最近相次いでいます。その例を挙げてみましょう。

【東京高等裁判所平成22年10月27日判決】
クレープ飲食事業等を営んでいたA社の事業を会社分割によって継承したB社に対し、詐害行為取消権による価格賠償を認めた。
この判例は、会社分割が債権者を害すると認定した理由として、A社がB社の株式を取得して計算上はA社の財産に変更はないように思えるけれども、その株式は、非上場の株式で一般的に流動性に乏しく強制執行の手続においてもその財産評価や換価には著しい困難を伴うから、当該会社分割は実質的に債権者を害するものとしました。
【福岡地方裁判所平成21年11月27日判決】
食料品の加工及び販売等を営んでいたA社が、会社分割によってB社を設立して事業を移転し、B社株式の発行を受け、A社は、その株式の発行を受けた当日に、A社代表者個人に対して当該株式を代金1円で譲渡し、A社はその後破産申立を行ったというケースです。
裁判所は、A社の破産管財人による会社分割に対する否認権行使を認め、会社分割によって移転された資産に相当する価格賠償を認めました。
この判例は、債務をA社とB社が双方で責任を負う形にしていたとしても、資産の殆どが会社分割によってB社に移転したことから、A社の債権者を害していると判断しています。

このように債務を免れるため濫用的に会社分割を利用することに対しては、詐害行為取消権や破産管財人からの否認権行使を認める方向性が判例上形成されてきています。そのため、現在議論されている会社法の改正においても、民法上の詐害行為取消権や破産法上の否認権によるのではなく、会社法によっても濫用的な会社分割の効力を否定できるような改正が検討されているところです。

(イ)濫用的な会社分割と民事再生手続の違い

このような会社分割の手法に対し、民事再生手続は、債権者に対して透明な手続で債権者の平等を最も重んじる手続と言えます。
債権者に必要十分な説明を行い、事業再生の可能性、破産した場合との比較、財産状況等を裁判所から選ばれた監督委員、ひいては裁判所のチエックの下で債権者に情報提供し、債権者に合理的な検討をしてもらって債権者の多数決にはかります。そして、債権者の頭数の過半数、かつ、債権額(担保権の設定されていない債権額)の半額以上の賛成によって事業の再スタートを切る手続だからです。
いわば堂々と、合法的に、事業の再生を図る手続である、という特徴を有しているものなのです。

≪ 5、会社分割と民事再生手続(1)

7、会社(企業)の民事再生手続を検討すべきか否かの最重要ポイント ≫

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