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企業再生〜債務をカットして中小企業の事業を再生する方法〜

2、各方法のポイントやメリット・デメリット

(4)第二会社方式

会社分割又は事業譲渡によって利益を出せる事業等を別会社に移転し、過剰債務を負った既存会社(以下「旧会社」)を特別清算手続や破産手続で清算する方法です。

会社分割手続は、合併等と同じ組織的な手続であるため、事業譲渡による場合と比べ、契約を新会社に移転するのに個々の相手方の同意が不要であったり、従業員の移転手続に「会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律」があり個々の労働者の同意が基本的に不要です。
また、会社分割後、旧会社に履行を請求できる債権者は、会社分割手続における異議手続から除外されているため、例えば、旧会社が新会社の債務を新会社と共に引き受けるなどすれば、必ずしも金融機関等への事前相談や同意を得なくても会社分割を行うことが可能です。また新会社が旧会社に支払う事業の対価は新会社の株式でよいのです。
これらの点を利用して、比較的最近、金融機関に不意打ち的に会社分割による第二会社方式を取り、対価としての株式は会社分割後他に低額で譲渡するなどしたうえ旧会社を破産させる等の方法が喧伝されたことがあります。
しかし、金融機関等が形式的に旧会社に請求できるとしても、その旧会社は破産等が予定されており、また新会社の株式は非上場株で流動性もありませんから、債権者を実質的に害することが多いと言えます。そこで、最高裁平成24年10月12日判決は、このような濫用的な会社分割がなされた場合は、債権者は詐害行為として必要な範囲で財産移転を取り消すことができる旨判示しました。

したがって、第二会社方式を採る場合も金融機関と協議しその同意を得ることが原則です。
その際、第二会社方式を採って事業を移転させ、旧会社を清算することが金融機関にとっても経済的な合理性があること、すなわち、そのまま旧会社を破産したりするより金融機関も多くの弁済を得ることが見込まれること(以下「清算価値の保証」)等を金融機関に説明し同意を得る努力をすべきです。

他方、たしかにそれが原則ではあるけれども、金融機関が多数に及ぶ場合などはそのような同意を得ることは非常に困難です。
金融機関からしても、清算価値の保証がなされ、かつ、ある事業を新会社に移転するための対価が専門家によって適正に評価されており、その支払が新会社から現実になされるのであれば、債権者たる金融機関等を害したという評価はできないと考えられます。
これは「濫用的」ではない第二会社方式とはどのようなものか、という問題です。
この点、会社分割であろうと事業譲渡であろうと、清算価値の保証がなされ、公認会計士等によって事業の対価が適正に評価され、その対価が新会社の株式ではなく現金で支払われ、それが旧会社の債権者に配当されるのであれば、濫用的ではない、すなわち、債権者の同意を得ずとも有効な第二会社方式となると考えます。第二会社方式すべてを否定する必要はないのです。旧会社を最終的には破産させることも、不良債権の損金処理の関係で金融機関等に役立つことです。
この場合、特に旧会社に対する新会社の支払が分割でなされる場合は、支払に時間がかかるので、これに対する一部の債権者による差押えのリスクがあり、不公平な弁済(偏頗弁済)となる可能性があります。そこでそのリスクが顕在化したような場合は、時間を置かず旧会社は破産手続によって公平な配当を実施できるようにすべきです。差押えがなされても、直ちに破産申立をすれば解除されます。
この事業再生の方法は、特に事業継続のため工場等特定の不動産を所有し続ける必要の無い中小企業にとって有用と考えられます。

なお、金融機関の同意を得る得ないに拘わらず、会社分割方式を採る場合、税制上常に非適格分割となり、簿価ではなく時価で事業を構成する資産を新会社に移転することになって、もし時価の方が簿価よりも高いような場合は、旧会社に課税が発生する可能性があります。事業譲渡の場合も、時価で移転しますから同様で、注意が必要です。

≪2、各方法のポイントやメリット・デメリット(3)中小企業再生支援協議会、地域経済活性化支援機構の利用

2、各方法のポイントやメリット・デメリット(5)スポンサーへの事業譲渡等と既存会社の清算≫

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