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経営者の個人保証と不動産売却益課税

2007年4月27日 弁護士 中島 成

中小企業の経営者は金融機関の保証人となるのが通常です。そこで、会社が破産等した場合、経営者は、自分個人が所有していた不動産を売却して保証債務を履行することを余儀なくされるケースがよくあります。
しかしこのように保証人としての責任を果たした場合には、不動産の売却益に対する税金は安くなるという特例があるのです。実際上重要な知識ですからご説明します。

5年を超えて所有している不動産を譲渡すると売却益(売却金額−取得費・譲渡経費−特別控除額)に対して15%の所得税と5%の住民税、合計20%の税金が課せらるのが原則です。
他方、保証人としての債務を履行すれば、会社に対して、保証債務を履行したのと同じ金額を保証人に支払うよう請求できるのが本来です。これを求償といいます。
しかし、その会社が破産等していた場合は、会社に支払能力がないので求償しても実際は払ってもらうことができません。いわば取りっぱぐれてしまうわけです。
そこで、不動産を売却して保証債務を履行する場合、不動産の売却益が出ても保証債務を履行した額分だけ損することになります。そこでこの実態を税額計算に反映させることができるというわけです。
具体的には、単純に不動産売却益に20%課税されるのではなく、(不動産売却益−保証債務履行額)に対して20%が課税されることになります。要するに、本来払うべきはずであった税金が、保証債務履行額×20%分安くなるというわけです。

所有期間が5年以下の場合、投機的取引を防止する趣旨で、税率が譲渡所得税30%、住民税9%、合計39%と高くなります。しかし、損が発生する理屈は上記と同じなので、同様に保証債務を履行することで、単純な不動産売却益に課税されるより税金を安くすることができます。

以上

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