電子商取引における問題点とその解決方法
◆電子商取引における問題点とその解決方法
T 相手方との対面性がないのでパスワードやIDが盗まれて利用されたときには、他人になりすまして取引を行う事が容易となる。
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その解決は、電子署名・電子認証によって本人確認を行う。またなりすましが行われたときパスワードやIDが盗まれたことについて本人に責任があり、本人と信じたことに取引の相手方には責任がないのであれば、民法の表見代理等のルールでなりすまされた本人が責任を負う場合があり得る。
U 消費者保護などのために書面の交付が法律上要求されている場合があるが、それがE-mailなどを利用した電子商取引にマッチしない。
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その解決は、民間同士の商取引では、法律上書面が要求されている場合でも相手方の承諾があればE-mailなどによって通知を行える(IT書面一括法)。
V パソコンの操作ミスによって申し込みなどをしてしまうことがある。
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その解決は、たとえクリックミスなどによって契約の申し込みなどをしてしまっても、錯誤を理由に無効を主張できるのが原則(電子消費者契約等に関する民法特例法)。
W インターネット上の住所であるドメイン名が不正に利用される恐れがある。
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その解決は、不正の利益を得る目的等で他人のドメイン名を取得・保有・使用する行為は、不正競争として損害賠償責任等を生じる(不正競争防止法)。
X インターネットが国境のないネットワークのため、トラブルが生じたときにどの国の法律によって解決するか(準拠法)、またどこの裁判所で裁判をするか(管轄裁判所)が極めて重要となる。
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その解決は、準拠法は当事者の合意によって定められ(法例)、管轄裁判所も原則として同様。
Y 匿名性のあるネットオークションでは、代金の振り込みを受けても商品を送らないなどの無責任な行為が横行したり、特定商取引法や古物営業法などの規制を受けない個人がオークションに出品することで、返品可能性の表示がなされなかったり、買い取り相手の身分確認がなされず盗品が流通し易くなるなど、規制がとどかない取引が多数おこなわれてしまう。
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その解決は、インターネットオークションを主催する事業者に対し、参加する者の本人確認や出品の登録を求める提言がなされており(警察庁セキュリティシステム研究会)、また個人でも営利の目的で反復継続して取引を行っているのであれば業者と認定されて規制がなされる場合があり得る。