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会社(企業)の民事再生手続の実際 〜過剰債務からの解放を図る〜

2、過剰債務を切り離すための会社(企業)の民事再生手続(2)

(ア)事業に必要な不動産の取り扱い 〜担保権者との交渉〜

工場や病院施設など、自社で所有している不動産で事業継続にどうしてもそれが必要という場合があります。民事再生に至る企業は、まず100%そのような不動産に対して金融機関の抵当権を設定しています。抵当権等の担保権は、民事再生手続とは基本的に関係なく実行することができますから、それが事業に必要な不動産に設定されている場合は、個別に担保権者と弁済方法についての協定を結んでいくことになるわけです。
この場合、金融機関とその不動産等の評価等について交渉を行い、それを今後どのような分割払いで返済していくかについての協定を結びます(担保協定)。この場合、そもそも再生計画に金融機関が反対であるという場合はともかく、再生自体は見守ってくれるということであれば、担保協定が締結されていくことが実際には多いのです。

(イ)裁判所の監督

民事再生手続は、裁判所から選ばれた監督委員たる弁護士、及び監督委員から選ばれた公認会計士によってチエックされていきます。申立を行った企業側としては、その調査等に誠実に対応していくことになります。再生計画の大まかな素案やその実現性を概略検討したうえで裁判所に申立を行うのが通常であるものの、申立後に、再度より正確に財産を評価し直し、申立後の実績なども加味した上で、裁判所に提出する再生計画が検討されていきます。その財産評価や申立後の実績なども、監督委員や公認会計士のチエックの対象となるのです。

(ウ)債権者集会

東京地方裁判所では、申立があってから5ヶ月間ほどで債権者集会に至るのが標準的なスケジュールとなっています。
申立がなされると、監督委員が選任され、監督委員同席の下で、申立企業による債権者説明会が開催されます。その様子等が監督委員から裁判所に報告され、それを参考に裁判所が開始決定を出せば、その後手続が進行することになります。
そして約5ヶ月の間で、申立企業は、資産の評価、債権者が提出する債権届出のチエック、再生計画立案、債権者への再生計画の説明などを行って、債権者集会を迎えます。この債権者集会で、債務額の半額以上、かつ債権者の頭数の過半数の賛成を得られれば再生計画が可決され、裁判所の認可決定によって再生計画が実行に移されていきます。

(エ)再生計画を最後まで実行できない場合

債権者集会で再生計画が可決され、再生計画の実行に移っても必ずしも最後までその計画を完遂できるとは限りません。計画期間の途中で事業計画が思ったようにいかず破産に移行する等する場合もあります。しかし、たとえそのような場合であっても、債権者に状況の透明な説明を行い、債権者の多数決で再生計画に乗り出す手続を行えたわけですから、そのまま直ちに破産した場合よりも債権者納得の上でのソフトランディングができたのであり、社会的な意義があったといえるのです。

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