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更新料、敷引特約、通常損耗の原状回復費用をめぐるルール
〜最高裁判例と最近の重要下級審判例〜

1、消費者契約法との関係 〜有効無効判断の3つのキーワード〜

【消費者契約法】

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)

第10条

民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第1条第2項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

【民法】
第1条
  1. 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
  2. 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
  3. 権利の濫用は、これを許さない。

※ 更新料支払合意や敷引特約は、消費者契約法10条に違反して無効ではないかが争われた。

<消費者契約法10条で無効とされる要件>

〔1〕民法、商法その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であること、
〔2〕民法第1条第2項に規定する基本原則(信義誠実の原則)に反し、消費者の利益を一方的に害するものであること、

の二要件をいずれも満たしていること

※ 実際は、〔1〕は常に認められ、〔2〕が争点となる。
なお、暴利行為といえるような極端な内容の場合は、民法90条により公序良俗違反で無効とされることはあり得る。しかし、通常はない。

【消費者契約第10条による有効無効判断の3つのキーワード】

明確性、対価性、合理性

消費者と事業者の間の情報力・交渉力の格差からくる不公正を是正することが消費者契約法の目的(1条)。その目的を達成するための手段として契約内容の「明確性」が求められる。
対価性、合理性は、判例から導き出される判断のキーワード。

消費者契約が有効になるためには、契約内容に明確性があり、支払いに対価性があり(当該支払いの対価として消費者が取得するものがあること)、対価性にバランス=合理性があること(対価性がある支払いでも不合理に高額にすぎれば無効)のいずれもが要求される。

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2、更新料の有効性 ≫

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