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改正民法(債権法改正)施行日以降の契約更新と 改正民法の適用関係(改正民法附則)

2018年7月10日
弁護士 中島 成

改正民法の施行日前に締結された契約と改正民法の適用関係(経過措置)については、改正民法の附則が定めており、改正民法施行日前に締結された契約については、改正前民法が適用されることを原則としている。

改正民法施行日前に締結されていた契約が、施行日以後に更新された場合、改正民法と改正前民法のどちらが適用されるかについては、附則から読める内容と法務省の見解とが食い違っていると考えられる。
特に賃貸借契約について、附則からは、改正民法施行日以後に更新された場合は、更新される賃貸借期間以外の内容については、改正前民法が適用されると読める。しかし、法務省見解は改正民法が適用されるとするものである。

保証契約については、

  1. 賃貸借契約が更新されても、保証契約自体が更新されなければ改正前民法による。
  2. 保証契約が更新されれば、改正民法による、
と考えられる。この点は、附則と法務省の見解で矛盾はないと考えられる。

その他、売買、消費貸借、使用貸借、雇用、請負、委任、寄託、組合の各契約については、更新された場合、附則からは改正前民法が適用されるとも読めるものの、法務省見解は改正民法が適用されるとするものである。

詳細は下記のとおり。

特に改正民法施行日以後すぐに大量に発生する賃貸借契約の更新と改正民法の適用について、このままでは混乱を起こす可能性があり、注意が必要である。

附則は、施行日前に締結された契約、及びそれらの契約に付随する特約については、改正前民法が適用されることを原則とする。

具体的には、施行日前に締結された次の契約、及びそれらの契約に付随する特約は、改正前民法が適用される(附則34条1項)。
売買、消費貸借、使用貸借、賃貸借、雇用、請負、委任、寄託、組合

【改正民法施行後に契約を更新したらどうなるか】

(1)(賃貸借契約)

附則34条2項は、附則34条1項にかかわらず、施行日前に賃貸借契約が締結された場合において施行日以後にその契約の更新に係る合意がされるときにも、賃貸借契約の期間に関する改正民法の規定は適用される、としている。

※ 改正民法は、賃貸借契約期間の最大を20年から50年に伸ばした(ただし、借地借家法によって建物賃貸借、建物所有目的の土地賃貸借は改正前から期間の上限はない)。

逆に言うと、施行日前に締結された賃貸借契約が施行日以後に合意更新されても、更新後の賃貸借期間以外の条項については、改正前民法が適用されることになる。もし施行日以後に合意更新されたときは改正民法が全面的に適用されるのであれば、賃貸借期間については改正民法を適用すると規定する必要がないからである。

また、34条1項の「付随する特約」は改正民法施行後の更新契約を含むと解するのが素直である。そう解しないと、34条2項の「前項にかかわらず」の意味がなくなるからである。

ところが、法務省立法担当者の編著による「一問一答 民法(債権関係)改正」(商事法務 2018年3月15日発行)(以下「一問一答」)p383〜384によれば、改正民法施行以後に契約が更新されたら、

  1. 改めて更新合意をする場合も、
  2. 期間満了前に当事者が異議を述べないために自動的に更新される場合も、
  3. 単に期間だけを更新する当事者の更新合意の場合も、すべて改正民法が適用されるとしている。他方、
  4. 借地借家法に基づく賃貸借契約の法定更新(賃貸人の更新拒絶に正当理由がないために更新される等)には、改正民法施行以後の当事者の意思と関係がないため、改正前民法が適用されるとしている。

そこで法務省参事官室にTELで照会し検討してもらっていたところ、平成30年6月21日、法務省の最終回答として、附則34条2項は、賃貸借契約を合意更新したら、賃貸借期間についての改正民法が適用されることの確認をしたものである。法務省の考え方は基本的に一問一答と同じである、とのことだった。

しかし、合意更新には改正民法が全面的に適用されるとすると、何のために賃貸借契約の合意更新について期間だけ改正民法によることを確認しなければならないのか不明である。
また、34条2項の「前項の規定にかかわらず」という意味も不明である。34条1項が更新と無関係のことを規定しているのなら、更新のことを規定している34条2項が「前項の規定にかかわらず」で始まることはない。
したがって、34条1項で付随契約といえる場合の更新には改正前民法が適用されるけれども、それにもかかわらず、賃貸借契約の更新では、期間についてだけは、当事者の予測を害することがないので、改正民法による、と規定していると読むのが素直である。

※ このままでは、改正民法施行日以後に更新される賃貸借契約への改正民法適用の有無について混乱が生じると考えられる。

(2)(賃貸借以外の附則34条1項記載の契約)

附則34条1項と同条2項からすれば、これらの契約が改正民法施行後に更新された場合は、更新契約は更新前契約に付随する特約といえる限り、附則34条1項により改正前民法が適用されると考えられる。

他方、上記一問一答の説明では、

  1. 合意更新であろうが、
  2. 異議が出ないために更新される場合であろうが、
  3. 期間だけの合意更新であろうが、
全て改正民法が適用されるとされている。

しかし、更新の場合、当事者が更新以後は改正民法を適用する意思を示しているとは必ずしもいえない。(2)(3)はなおさらである。また、附則34条1項と2項の文言からすれば、上記のとおり、付随する特約といえる限り、合意更新であっても更新契約は改正前民法によると読むのが素直である。

※ したがって、このままでは改正民法施行以後の更新契約への改正民法適用の有無について混乱が生じる可能性がある。

(3)保証契約(附則21条)

保証契約については、附則21条1項が定めており、施行日前に締結された保証契約は改正前民法によると定めている。
同項には、附則34条1項ただし書きのような付随契約に関するただし書きがない。34条2項とも、「前項の規定にかかわらず」などと紐づけられていない。

そこで、保証契約については、上記一問一答の説明どおり、保証契約が更新された場合は、上記(1)(2)(3)すべての場合で、すべて改正民法が適用されると考えられる。
そのため、保証契約が更新されると個人根保証人との間等では極度額を設定しなければ当該更新保証契約の効力が生じないことになる。

以 上

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